塗装と調色の用語
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着色層の中に、パール顔料を混ぜて塗装したボデーカラーのこと。<パール顔料>は、薄い半透明の膜を何層にも重ねた構造になっていて、表面は酸化チタンでコーティングされている。パール顔料に当たった光は、顔料の表面や内部の半透明の膜で、ある部分は反射し、ある部分は通り抜け、様々な色になる。この反射や通り抜けの具合は、見る角度によってによっても変わるので、変化のある複雑な色彩が生み出される。この顔料は<マイカ>(雲母)と呼ばれるため、パール塗装は<マイカ塗装>、パール顔料は<マイカ顔料>とも呼ばれる。表面のコーティングにより、一般的な白色パール顔料、酸化チタン層が厚い干渉パール顔料、酸化チタンの上に酸化鉄がコーティングされた着色パール顔料の3種類が中心で、その他表面が銀メッキされた銀色マイカ(トヨタ)、酸化チタン層をさらに厚くしたファントムパール顔料(三菱)など、カーメーカーによっても独自の工夫が施されている。   パール塗装には、3コートパール塗装と2コートパール塗装の2種類がある。<3コートパール>は、通常の着色顔料からなるベースコート(着色層)、パール顔料だけかわずかの着色顔料を加えたパール層、クリヤー層の3層構造になっている。主に白色顔料が用いられ、上級車種に採用されている。<2コートパール>は、メタリック塗装と同じように、着色顔料にパール顔料を混ぜた着色層にクリヤー重ねたもので、登場以来5年ほどの間にメタリックより色数が増えてしまった。メタリックより落ちついた色調になり、ムラが出にくいのが特徴である。2コートパールの着色層に、メタリック塗装用のアルミ顔料を加えたボデーカラーもある。<パールメタリック塗装>とか<マイカリック塗装>と呼ばれるが、アルミ顔料の含まれない2コートパールと特に区別されることは少ない。  パール顔料は、クリヤーと混合させた液体やパール顔料だけを封入したパウダータイプ、泥状に練り合わせたコンクタイプなどの形で市販されている。原色ラインの中では<パールベース>または<マイカベース>と呼ばれる。
塗料の膜厚を厚くすれば艶はよくなるが、少しでも厚すぎると重みでたれてしまう。そして垂直面は水平面よりたれやすいので、限界まで塗り込むとどうしても差が出てしまう。マツダが上級車種に採用しているハイレフコートは、より厚塗りができるように塗料を改良した上、水平面と垂直面の差を出さないよう、ボデーを回転させながら焼き付け乾燥させている。ちょうど肉の塊を串に刺して、火の上で回転させながら焼くバーベキューのような方法だ。これによって同じボデーカラーでも、まるで違う色に見えるほど仕上がり感は向上している。さらに後になって耐スリ傷性の機能を持つ塗料が採用されるようになり、<高機能ハイレフコート>にグレードアップした。ボデーショップではそんなマネ(乾燥中のボデーを回転させる)はできないから、補修の難しい塗装のひとつになっている。
吹き付けた塗料が塗装面に上手く付着しないで、部分的にはじかれたようになり、班点状のへこみが生じるトラブル。<クレータリング>、<フィッシュアイ>などとも呼ばれる。塗装面にワックスやシリコン、水分油分など、塗料と相性の悪い成分があると生じる。吹き付け前の清掃を念入りに行なうのが解決方法になる。特にモールぎわやドアハンドル、パネルのすき間はワックス分が残りやすい。またシリコンの入ったワックス類や艶出し剤は工場で使わないようにするべきだ。注意したいのはモップやマット類で、ハジキの急増に悩まされて、調べてみると事務所の足拭きマットが原因だったという例もある。  初期のウレタン系塗料ははじきに敏感で、はじきをとめる添加剤<はじき止め>がよく用いられた。はじき止めの成分はシリコンが中心で、いわば毒をもって毒を制するという方法。そのため、最初にはじき止めを使えば、それ以降の塗り重ねにもはじき止めを加える必要があり、周囲に飛び散る塗料ミストは、別の塗装のハジキの原因ともなった。しかしその後の塗料の改良で、はじき止めの使用もほとんど使われなくなっていった。
吹き付けた塗膜の表面の状態のこと。吹き付け直後は<濡れ肌>なので、主に乾燥後の表面のことをいう。肌は塗料の種類や吹き付け方によって変化する。新車の焼き付け塗料の肌は、小さく緩やかなデコボコがあり、ミカンの皮のようなゆず肌になっていたので、補修塗膜もそれに合わせた肌が作られていたが、1980年代後半頃から表面がつるつるの鏡面肌となり、補修側もそれに対応して変わっていった。調色で苦労して色をピッタリ合わせても、肌の調子が合っていないとよい仕上がりとは言えない。  熟練した技術者なら、肌の調子はエア圧やシンナーの希釈量、ガン距離や運行速度によってコントロールできる。乾燥後のポリッシュで肌を合わせることも、極端にひどい仕上がりでない限り可能だが、ポリッシュに余分な時間がかかるため、できるだけ吹き付けで肌を合わせる方がいいとされている。
パターン
補修塗装に使うスプレーガンは、吹き付けた塗料が楕円形の範囲に広がって塗装面に付着する。この楕円形をパターンまたは<スプレーパターン>と呼ぶ。パターンはスプレーガンの空気キャップの角を縦にすれば横長に、横にすれば縦長に変化し、パターン調整ネジによって円形から細長い楕円形状まで調整することができる。通常は縦長パターンで吹き付けられることが多い。  パターンの楕円形状の両端は、中央部に比べて塗料の付着量が少なくなるため、均一な塗膜を作るためには、隣り合ったパターンの端同士を重ねて塗装する必要がある。これが<オーバーラップ>で、<パターン重ね>とも呼ばれる。どの程度パターンを重ねていくかは、塗料や塗装の種類、作業者の技術などによって異なるが、一般的には3分の1程度重ねるのがよいとされている。たっぷり塗り込んで膜厚の大きな塗膜にする場合は、2分の1重ね、3分の2重ねなどのテクニックも用いられるが、タレやすくなるので慣れない作業者には向いていない。  スプレーガンで吹き付けている状態を真横から見たとき、普通は直線的に塗料が広がり、塗料の通る範囲は三角形になる。これに対して、塗装面に近い側がすぼまって、ちょうどチューリップの花のような形にコントロールされているスプレーガンもある。これが<チューリップパターン>で、場所による塗料の付着量のムラがすくなるため、狭い範囲の補修塗装に向いている。
パッケージカラー
補修塗装では、数多くの原色の中から必要な原色を選び、それらを混ぜ合わせて必要なボデーカラーを作るのが一般的である。しかし最初から新車の色に合わせて調合し、缶に収めている補修塗料もある。これがパッケージカラーで、一見便利そうだが、新車のボデーカラーに色フレや変色があると、そのままでは使えないから結局同じことである。そのせいか日本ではあまりパッケージカラーは利用されず、原色からの調色が中心になっている。しかし新車塗膜の性能向上で変退色が少なくなっており、色フレのあるボデーカラーも限られたものなので、作業時間短縮や塗料のロスを減らすため、パッケージカラーを見直すべきだという声もある。
標準光源
ライトや電球などの光源は、主にその温度によって色の特性が変わるため、光の特性は温度によって表現される。それが<色温度>である。色温度が違えば、光の色は同じように見えても、その光を反射した色は違って見えることがある。昼間の太陽光線の光に、できるだけ近い特性を持たせているのが標準光源である。標準光源を使えば、天気の悪い日や夕方から夜にかけた時間帯でも、昼間と同じように調色することができる。  標準光源は、どんな状態の光を再現しているかでいくつかに分けられている。まず標準光Aは、他の標準光の元になるもので、2,854°Kの色温度を発するガス入りタングステン電球である。標準光Bは、太陽の直射光線を再現したもので、標準光Aも電球に特殊なフィルターを被せて色温度を4,870°Kにしている。標準光Cは同じようにして色温度を6,740°Kに設定してあり、これは6月上旬の快晴の午後1時頃に、太陽光線と青空の光が混合して北窓から入ってくる光に合わせてあるそうだ。単に標準光源と言えば、標準光Cを発するものを指すことが多い。なお、色温度は絶対温度(°K)で示される。その数字から273を引けば、ほぼ摂氏(℃)の温度になる。  昼間の太陽光線の光を再現している蛍光灯もある。これは蛍光灯の管の内側に塗ってある薬剤の工夫で、太陽光線の光を再現している。
表面処理
露出された鋼板の表面を錆から守るとともに、次に塗る塗料の密着力を助けるのが表面処理または<金属面処理>の工程である。新車ラインの場合は<化成処理>と呼ばれる。 鋼板の表面処理には、主に<リン酸亜鉛処理剤>が用いられる。ボデーショップで用いられるものは<プレコートメタル>、<メタルコンディショナー>などと呼ばれている。 処理方法は、まず原液を水で薄め(希釈済みの製品もある)、鋼板の表面に刷毛塗りする。半乾き状態になれば、処理した部分を水洗いして、余分の処理剤を洗い落とす。これで鋼板の表面には、防錆効果を持ったリン酸亜鉛の薄い皮膜ができる。製品によって多少異なるが、標準的な処理はこのぐらいである。注意したいのは処理後で、リン酸亜鉛の皮膜は細かい穴が無数に開いており、長く放置すると逆に錆を呼びやすくなる。できるだけ早く次の工程に進むべきだ。
微粒化
補修塗装に使うスプレーガンは、圧縮空気と塗料を激しい勢いで衝突させ、その時の力を利用して塗料を細かい粒に分解し、霧状にして吹き付けしている。これがエアスプレーガンによる塗料の微粒化方法である。塗料の粒は細かければ細かいほど、均一に塗装面に付着し、滑らかな肌を作る。粒が粗ければ肌も粗くなる。その点では自動車補修に使うスプレーガンは、最高水準に近いものが使用されている。  圧縮空気の勢いが強い、つまりエア圧が高いか空気の量が多いほど、微粒化はしやすくなるが、自動車補修用のスプレーガンは、低圧低吐出量でも微粒化に優れているのが特徴である。塗装用機器には様々なタイプがあり、塗料のロスの少なさや使い勝手などでより優れたものもあるが、微粒化の点でエアスプレーガンに勝てないため、ボデーショップではほとんど使われていない。
拾い塗り
上塗り塗装で塗装面全体を塗る前に、例えばプラサフの入っている部分だけとか仕上げパテを塗ってある場所だけとかいう具合に、部分的に吹き付けする工程を拾い塗り、または<拾い吹き>と呼んでいる。塗装面の状態が異なれば、上に塗る塗料にも多少影響は出る。その影響を防ぐために行なわれる。
ピンホール
塗膜中の溶剤の蒸発速度が適正だと、溶剤の蒸気の通り道は周囲の塗料がすぐに埋めるので、表面はきれいなまま仕上がる。しかし急激に大量の溶剤が蒸発すれば、塗料は溶剤の抜けた跡を埋めきれないままに硬化し、表目には細かい穴が無数に残る。これがピンホールや<ワキ>と呼ばれるトラブルである。原因は吹き付け直後に急に温度を上げた、塗膜中に残っている溶剤が多すぎる、厚塗りしすぎなどである。溶剤の蒸発量は塗装直後が最も多く、次第にゆっくりとなっていく。吹き付けと吹き付けの間を5分程度空け、溶剤を蒸発させながら塗り重ねれば、塗り終わったときに塗膜中の溶剤量が多すぎるのを防ぐことができる。また吹き終わりでそのまままたは気温より少し高い程度の温度で5〜10分空ければ、その間に大量の溶剤が蒸発するので、後は必要な温度に上げて短時間で硬化乾燥させることができる。急がば回れである。なお塗装間隔の空け方は、塗料の種類や塗装方法などによっても異なる。
フェザーエッジ
補修のために塗膜をはがし、鋼板をむき出しにした部分と周囲の旧塗膜との間は、塗料の厚みの分だけ段差ができている。この段差はできるだけ滑らかな斜面になっている方がいい。ていねいな研磨作業によって作られた、補修部と旧塗膜の間の滑らかな斜面をフェザーエッジと呼ぶ。上から見ると中塗りとした塗りの層が少しずつ顔を出し、境界面がぼかされている。鳥の羽のようにも見えるからこの名前が付いたといわれている。  フェザーエッジは、どこかの工程で一度に作るのではなく、塗膜はがし、パテ研磨と連なる研磨工程で、少しずつ範囲を広げて滑らかなものにしていく。そのための作業が<エッジ落し>または<段落し>である。
ブラッシング
塗膜中に空気中の水分が入り込み、白っぽくなって光沢がなくなるトラブル。<かぶり>、<白化>、<くもり>などとも呼ばれる。  溶剤が蒸発するときの気化熱で温度が下がり、空気中の水蒸気がつゆになって塗膜に取り込まれる。夏に冷たい飲み物を入れたコップのまわりにつゆが付くのと同じ現象である。ガラスのくもりは拭けばきれいになるが、塗膜のくもりは一度完全に乾かして、それからくもっている場所の塗膜をはがしてやり直しだ。溶剤の蒸発が急すぎるのが原因だから、気温に合わせたより蒸発の遅いシンナーを使わなくてはいけない。周囲の温度を上げる方法もある。温度を上げると湿度は自動的に下がり、つゆが付きにくくなる。ただしくもりが出るほど湿度が高いときは、たいていは暑い時だから、それ以上温度を上げるのは……。
ブリスター
塗膜のごくせまい範囲が、吹き出物のようにプックリふくれてしまうトラブル。原因が単純でなく、いろんな要素がからみあって起きる上、鋼板面、下地の各層など、どこでも発生する可能性がある。そのため、起きてしまえばすべての塗膜をはがして鋼板面からやり直ししなければいけないが、同じような作業を繰り返したのでは、ブリスターもまたもう一度発生してしまうこともある。非常にやっかいなトラブルである。  塗膜と塗膜の間や塗膜と金属面の間に密着不良があると、それらの間にごく小さなすき間が生じ、そこに水分が入る。水分はやがて蒸発して水蒸気になるが、水が水蒸気になるときは、体積が約1,000倍にふくれるため、すぐ上の塗膜を持ち上げてブリスターになる。これが発生のメカニズムである。元になる密着不良は、あらゆる原因で生じる。塗装面についていた小さなゴミや油水分、ワックス、水分、パテやプラサフの耐水性、溶剤の抜けの悪さ……。要するに塗装面は充分に清掃してきれいにし、質のよい塗料とシンナーを使えばいい、ということだが、これでは答えになっていないようだ。ブリスターには、それだけで本が1冊できるほど、複雑な要素が含まれている。
ブロック塗装
ある特定のパネルの1部ではなく、そのパネルの全面を塗装するのがブロック塗装になる。隣のパネルは塗装しないため、調色で色をピッタリに合わせる必要がある。ぼかしをしないのが基本なので、少しでも色が違っていれば、すぐにわかるからだ。もちろん高度な調色技術が必要になる。そこまでいくのはなかなか難しいから、補修するパネルはブロック塗装し、そこから回りのパネルにぼかし塗りするのが<ブロックぼかし塗装>である。塗装範囲はかなり広くなってしまうが、調色の精度はやや甘くても、境目が目立つようなことはない。なお、2液のウレタンプラサフやフッソクリヤーは、原則としてブロック塗装が条件付けられている。これはそれらの塗料はぼかし塗りしないで、パネル全面に塗りなさいという意味。例えばフッソ塗装では、着色層はぼかしで仕上げても、クリヤーはそのパネルの全面に塗る。
ブロンジング
長期間太陽光線にさらされた塗膜中の顔料が変化し、玉虫色の金属光沢を発するようななった状態。有機系の赤、青、緑色の顔料で生じる場合がある。顔料の選び方を間違ったり、塗装作業や塗料の不具合で、塗膜が本来の性能を発揮していない場合に生じるが、何も問題ない塗膜でも、10年もそのままにしておけば、色によっては発生する可能性がある。塗膜トラブルというより、塗膜の劣化現象のひとつである。
雰囲気温度
5℃以下の気温では、溶剤の蒸発や塗膜の化学反応の進行は極端に遅くなり、まともなと操作業は難しくなる。塗装ブース内では、乾燥時の余熱や暖房で、極端に低い温度にはならないが、工場内はそうもいかない。よく行なわれるのは熱風ヒーターや赤外線ヒーターで、塗装する場所の気温を上げてやること。これは決して作業者が寒いからだけではなく、よい塗装仕上がりのためには欠かせない。塗装する場所の温度が雰囲気温度である。気温によるシンナーの選択も、もちろん雰囲気温度に合わせて行なう。暑い方も本当なら下げてやりたいところだが、寒すぎるよりもトラブルにつながることは少ないので、雰囲気温度はもっぱら上げる方が中心になっている。
ペーパー目
下地にペーパー掛けした跡が、上塗りを塗っても消えずに透けて見えるような状態。<ペーパー跡>とも呼ばれる。足付け研磨に使うペーパー番手が粗すぎると起きる。実際には透けて見えるだけでなく、上塗り表面も研磨跡のようにデコボコになっている。これは粗いペーパーの研磨跡に溶剤が過剰に入り込み、下地や旧塗膜を冒して研磨傷を広げるためである。そのため、上の塗料で埋めようと重ね塗りしても、溶剤量が増えるから傷を広げるばかりで、決して消すことはできない。足付け研磨は研磨は次に塗る塗料に応じたペーパー番手を使うべきである。この種の傷は濃色ほど目立ちやすいため、上塗りの色によってもペーパー番手を変える必要がある。また、かろうじて消せる程度のペーパー傷でも、溶剤の量が多かったり乾燥速度が遅いと、ペーパー目が目立つようになる場合もある。
変色
塗膜の硬化乾燥が不充分だったり、硬化剤の配合比を間違えるなどして、塗膜の性能がきちんと発揮されていないと、短い期間で塗膜が劣化して、塗った時と違う色になってしまう。しかし無限の光沢が約束されている塗料があるわけじゃなし、10年以上過ぎれば、たいていの塗料は、程度の差こそあれ、艶を失ったり変色することも少なくない。
方向性
メタリックやパール塗装の仲間では、アルミやパールなどの顔料の並び方によって、正面すかしなど、見る角度によって色が違って見える。ソリッドカラーでも、顔料の形状が見る角度によって大きく異なる場合は、色の見え方も変わってくる。見る角度によって違って見える色は、方向性のある色である。極端な差がある場合は、方向性が強いという。もう少し専門的な言葉に直せば、色や顔料の<フリップフラップ性>、<フラップ特性>などと表現される。これは塗装された塗膜の色について言われるときと、顔料そのものの性質を示している場合のふた通りがある。調色の時、見本板とボデーを色々な角度から眺めるのは、方向性に問題がないか確かめるためでもある。ボデーカラーと調色した色の方向性が異なれば、正面から見たときは同じ色でも、斜めから見ると別の色に見える場合があるからだ。
防錆処理
溶接部などに、後から錆が発生しないように行なう修理作業に含まれる内容と、海岸部や重工業地帯など、錆が出やすい地域で、新車または使用中の車の防錆能力を向上させるために行なう独立したひとつの仕事の2通りがある。  復元修理の中で行なわれる作業は、スポット溶接シーラーの利用、シーリング剤の塗布、溶接部周辺の袋構造部内側への防錆剤吹き付けなどである。「溶接しているから錆が出るのは当たり前」と言わず、溶接していてもできるだけ錆は出さない方向で仕事を進めたい。外観は塗装で処理できるが、内側はそうもいかないので、サービスホールや基準穴ななどを利用して、専用の防錆塗料をしっかり吹き込んでおく。  独立した仕事の方は、いわゆる<防錆処理システム>を用いられることが多い。これは塗料数種類、塗装用のスプレー機器、作業手順マニュアルなどがワンセットになっていて、特殊な技術の取得や長期の講習などは受けなくても、誰でも作業できることになっている。ひとつの製品として市販されているものもあるが、集客方法や接客などのノウハウを含むフライチャンズ方式として販売されているシステムも少なくない。
ぼかし
スポット補修で、境目を目立たなくするために、補修部から旧塗膜にかけて薄く塗り広げること。仮に完璧に調色したとしても、塗装の境目がくっきり出ていれば上手な補修とは言えない。逆に調色はそこそこでも、うまくぼかしがしてあると、補修部はほとんど目立たなくなる。  ぼかしはなるべく狭い範囲で行なうのが上策。部位によってはプレスラインや水平面垂直面の切り替えなど、色が違って見えても自然な場所を利用することもできる。  ぼかし作業は、スプレーガンで円を描くように徐々に塗装面からの距離を離し、塗膜が自然に薄くなるように吹き付ける。塗料はそれまでに吹いていたものよりシンナーを多めにし、場合によってはクリヤーで薄める。メタリックやパール塗装では、着色層とクリヤーの2回ぼかしが必要である。ただしフッソや耐スリ傷性のクリヤーは、ぼかさないでブロック塗りする。  塗料は一定の厚みの塗膜を作らないと所定の性能を発揮しない。ぼかし部はこの原則に反して、非常に薄い塗膜となるため、前もってコンパウンドでていねいに足付けし、塗料の密着力を上げておく。旧塗膜上になじませるためには、やや遅めのシンナーを使うという手もある。また<ぼかし剤>も利用されるが、これは遅めのシンナーが主成分になっている。
補色
混ぜ合わせると灰色になるような色の関係のこと。例えば赤と青緑、黄と青紫、オレンジと青などである。調色で、ある特定の色味が強すぎるときは、その色の補色関係にある原色を追加すると、色味を抑えることができる。