塗装と調色の用語
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塗膜は、基本的には厚いほど光沢もよくなる。しかし1度に厚く塗ろうとしても限界がある。そこで、新車塗装では様々な方法で分厚くて深みのある光沢を持つ塗膜が作られている。 一般的な車種では、下塗り、中塗り、上塗りの3工程で新車塗膜が作られる。3回塗って3回焼付けするから3コート(塗装)3ベーク(焼付け)となる。これに上塗りと共色の中塗りを追加して、表面の平滑さと色の深みを出しているのが<4コート4ベーク>である。また、メタリックやパール塗装など、上にクリヤーをかける上塗りは、着色層を塗ってクリヤーかけて、それから焼付けする2コート1ベークだが、その後に中研ぎを挟んでさらにクリヤーかけた塗装もある。さらに、着色層+クリヤーを2回重ねるなど、各社の上級車種を中心に、いくつかの方法が採用されている。 この手の塗装をひとまとめにしてマルチコート塗装と呼ぶ。マルチコートの回数の呼び方は、メーカーによって下塗りや中塗りを数えたり数えなかったりで、特にきちんとした決まりはない。
微粒化されて霧状になった塗料のこと。スプレーガンから出て塗装面にたどり着くまでの間はミストになっている。狭い意味では、マスキングに付着したり、ブース内で舞っているような、塗装面にたどり着かない塗料粒子をミストまたは<スプレーダスト>と呼ぶ場合もある。だからたいていの塗装はミストを吹き付けているわけだが、特に<ミストコート>と呼んだ場合、それはぼかし作業でぼかし吹きした部分(塗膜にならずにミストの状態のままくっついている感じなのか)をなじませるために、遅めのシンナーやぼかし剤を吹き付ける作業のことを指している。
塗膜と塗膜、塗膜とパネル面の密着力が悪いと、苦労して作った塗膜も、シールやステッカーのように端からぺりぺりとはがれてしまう。塗装直後は大丈夫でも、密着力が弱けれ、ば本来なら何事もなく済んでしまうようなわずかな錆や跳ね石などで塗膜がはがれる。その結果、<はがれ>や<ピーリング>と呼ばれる塗膜トラブルになる。塗膜の密着力を確保するためには、ていねいな清掃と足付け研磨が欠かせない。
ムラ取り
メタリックやパールの着色層の仕上げで、下地の色が完全に見えなくなった後、ムラになっている部分を修正する吹き付け工程。ムラなくきれいに吹き付けできていれば必要ないが、着色部の吹き付けの仕上げ工程である。ぼかし塗装をする場合は、ムラ取りとぼかしを同時に行なうことが多い。
メタリック塗装
着色顔料とアルミ顔料を混ぜた着色層をまず塗装し、そのうえにクリヤーを重ねてあるボデーカラー。きらきらした金属的な輝きを得ることができる。着色層または着色層に塗る塗料(ネタ)は<メタリックエナメル>と呼ばれる。  アルミ顔料は、ごく薄いアルミの小片で、<メタリック顔料>とも呼ばれる。小さなものは千分の2〜3o、大きなものなら10分の1o程度の直径で、形はギザギザしたものから滑らかなものまで様々で、これらの組み合わせによって金属光沢の見え方を調整している。この金属光沢の見え方がいわゆる<メタリック感>になり、一般的に直径の大きいアルミ片を使ったものほどキラキラした輝きになり、形状が滑らかなものほど白っぽい光沢を持つ。  アルミ顔料は、大きさや形状別で、クリヤーに混ぜられた形で塗料缶に収められている。これは<メタリックベース>またはメタリック原色と呼ばれる。全く同じ形状や大きさのアルミ片ばかり集められているわけではなく、ある特定のメタリックベースに含まれるアルミ顔料の大きさや形状には幅がある。粗目とか細目などの名称は、一番多い比率で含むアルミ顔料で表わされる。  メタリック塗装では、アルミ顔料の並び方が塗装の出来映えに影響する。アルミ顔料が同じ方向を向いてきれいに並べば、アルミ顔料に当たった光が直接目に入る角度から見ると、よりキラキラ感の強い明るい塗色となる。ただし別の角度からでは暗めになる。これがメタリック塗装の正面とすかしである。通常、正面が明るくなればすかしは暗くなり、正面が暗いとすかしは明るくなる傾向を持つ。  メタリックが均一に並ばないで、部分的に固まったようになるのが<メタリックムラ>である。メタリックムラには吹き付けのテクニックが悪くて生じる<吹きムラ>と、クリヤーを塗ったときに、クリヤーの溶剤がメタリックエナメルを溶かしてアルミを動かす<戻しムラ>の2通りある。吹きムラは、スプレーガンの扱いに慣れれば減らすことはできるが、戻りムラはクリヤーの厚みやフラッシュオフタイムの長さなどが関係し、ベテランでも時には犠牲となる。しかし塗料そのものも改良され、吹きムラや戻りムラが起きにくくなっている。メタリック層とクリヤーで塗料の性質を変えている、いわゆる2Kタイプの塗料もそのひとつである。