塗装と調色の用語
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適当な比率で混ぜ合わせれば、あらゆる色を作ることができるような、いわば基本になる三つの色。光の三原色と色の三原色がある。  <光の三原色>は、テレビの画面や色付き電球のように、自分で光を出す場合の三原色で、赤、緑、青の3色。すべてを同じように混ぜ合わせると白になる。<色の三原色>は、塗装や印刷物のように、反射した光が色になって見える場合で、赤、青、黄の3色。混ぜ合わせると黒になる。カラーテレビは光の三原色をブラウン管上で混ぜ合わせて、様々な色を表現している。カラー写真や印刷物は、色の三原色を利用している。
色の違いを数値で表示する計測器。ボデーショップで使われる色差計は、コンピューターの記憶している調色配合データの中から適切なものを選び出し、その後は見本塗り板と実車のボデーカラーの色の違いを、4種類のデータで表示してくれる。  目標とする色に対して赤味と緑味のフレは凾=A黄味と青味のフレは凾aA明るさは凾kで表わされ、総合的には凾dとして示される。何度か測色と配合の調整を繰り返し、最終的に凾dが0.5以下だと調色はほぼOKとなる。ブロックでピッタリ合わせようと思えば0.3ぐらい、ぼかして塗るなら0.7まで大丈夫だとされる。ただし数値表現と実際の見え形には、やはり差があって、凾dが大きくてもあって見える色やその逆もあり、黙って測ればピタリと……という具合にはいかない。ただし微調色の過程を数字で示してくれるため、調色を学ぶためには非常に有効とする声もある。主にパソコンや電話回線によるホストコンピューターとの接続によって利用されているが、高価なため、まだまだ普及は進んでいない。
ボデーカラーの中には、顔料の性質などが原因で、何度塗り重ねてもプラサフの色が透けて見えるようなとまりの悪い色がある。そしてそんな色に使われる原色は、たいてい値段が高い。そこで、最初はよく似た色でとまりのよい色を塗っておき、そのうえから改めてピッタリに合わせた色で塗るというテクニックが用いられている。これにより、作業時間の短縮、材料費の節約、厚塗りしすぎることによる塗膜トラブルの回避、という三つの利益が得られる。この種のボデーカラーは赤系、黄色系でよくある。<カラーシーラー>、<共色塗装>とも呼ばれる。
金属面(鋼板面)に直接塗って、主に錆を防ぐ役割を持つ塗装である。プライマーやウォッシュプライマーなどがこれに当たる。主に新車塗装で使われる言葉で、新車ラインでは電着塗装が行なわれている。補修塗装には<下地塗装>という言葉があるが、これは上塗り以外の塗料を全てひっくるめた意味で、下塗りと中塗りのはっきりした区別はない。
しまり
感覚的な言葉だが、乾燥時の硬化の進み具合を表わしている。表面だけ乾いた状態の指触乾燥から完全乾燥までの間で、この時間が早ければ「しまりがはやい」、ぐっと硬度が増すようなら「しまりがよい」などと使われる。
条件等色
色は光があってはじめて目に見える。つまり光源からの光が何かに当たって反射し、その反射光が目に入って、そのものの色を感じるわけだ。そのため色の見え方は、光源に影響される。光のもとが変われば色が違って見えることはよくある。例えば極端な話、太陽光線の下では白く見えるものも、赤いライトに当てれば赤く見える。そこまで極端でなくても、太陽光線、月の光、水銀灯の光などを考えれば、それぞれで違って見えるボデーカラーは珍しくない。このように、光源によって色が違って見えることを光の<演色性>と呼ぶ。この性質は色の元(顔料)の性質によって差がある。  2色以上の色を比べたとき、ある条件ではほとんど同じ色に見えるのに、演色性の差から、光源が変わるとまるで違う色に見えるような組み合わせが考えられる。こちらが条件等色である。例えば昼間の光の下で調色して色がピッタリあっていたのに、夜になって水銀灯の光を受けると、補修した部分が違う色に見える場合がある。これは新車塗装に使われている顔料と、異なる性質(演色性)を持つ顔料で調色したことが原因だ。こんなトラブルを防ぐためにも、塗料メーカーの調色データを利用することが大切である。調色データに従って原色(顔料)を選べば、条件等色の罠(わな)に落ちることはまずない。
スーパーカラー
トヨタ系のソリッドカラーで、従来の色よりもさらに鮮やかさを増したボデーカラーがこう呼ばれている。カラー名称は白系ではスーパーホワイト、赤系ではスーパーレッドなどがあり、それぞれ登場時期によってT〜Wなど、同じ名前を区別される(カラーコードは異なる)。これらの色は特殊な塗装方法や塗料が用いられているわけではないが、顔料の改良や配合などで鮮やかさを強調している。補修では原色配合の工夫やクリヤーカットなどで調色される。
すかし
斜めから塗膜の色を見ることがすかしだと思っている人も少なくないが、実はそれは間違い。光が塗膜に当たった角度と出ていく角度が同じ状態で見えるのが正面色で、異なる角度で見えるのがすかし色である。昼間の太陽の位置が高いときの戸外では、塗膜にほぼ直角で見ると正面、斜めに見るとすかしになるが、太陽が低くなったり、別の標準光源を低い位置に置いているときは、その光源の位置によってすかしと正面は変わってくる。  メタリックカラーでは、メタルのならびの関係から、正面が明るくなればすかしが暗くなり、すかしが明るくなれば正面が暗くなるという場合が多い。
捨て塗り
<捨て吹き>とも呼ぶ。吹き付け塗装で、一番最初に吹き付けるとき、塗料と塗装面をなじませるため、またハジキの有無を確かめるために薄くさらっと吹き付ける作業のことである。ただし、あまりバラバラ吹き付けるとムラになり、そのムラは最後までとれないこともあるから注意したい。
セッティングタイム
吹き付け直後の塗料は、盛んに溶剤が蒸発している。次の工程に進む前には、ワンクッション時間を置いて、溶剤をある程度蒸発させた方がいい。セッティングタイムは、吹き付けが終わって強制乾燥に進む間のワンクッションである。溶剤の蒸発が盛んなときに急に熱を加えると、溶剤が抜ける跡を塗膜が埋めきれず、ピンホールになって残ってしまう。そこまでいかなくても肌の状態が悪くなる。気温や膜厚にもよるが、吹き付け後10分も過ぎれば溶剤の80%近くは蒸発してしまうとされる。10〜15分程度おいてから熱をかけるのが安全だろう。塗料によってはそのまま放置するのではなく、やや低めの温度で予備乾燥することを指定している場合もある。  <フラッシュオフタイム>は、3〜4回に分けて吹き付ける時の吹き付けと吹き付けの間の時間である。日本語では<塗装間隔>。溶剤の蒸発は塗膜の厚みの2乗に反比例して早くなる。つまり膜厚が2倍になると、同じ量の溶剤が蒸発するためには4倍の時間が必要になるわけだ。あまり塗膜が厚くならない間に、少しずつ溶剤を蒸発させれば、結果的には作業時間も短くて済み、乾燥時のトラブルを防ぐこともできる。この時間は通常5〜10分程度だが、これも塗料や塗り方によって調整することになる。フラッシュオフタイムをしっかり取れば、セッティングタイムも短くて済むことが多い。  フラッシュオフタイムとセッティングタイムは、同じような目的で行なわれる。タイミングの違いだけなので、特に区別しないで言葉として使われることも少なくない。
全塗装
ボデー全体を塗装するのが全塗装である。補修する部分があちこちにたくさんあったり、元の色と違う色に塗り替えてしまうときはこれになる。1980年(昭和50年代)頃までは、新車塗装といえども5〜6年もすればずいぶん劣化した。そのため同じ長く車を乗り続ける人や中古車は、全塗装してボデーの光沢を取り戻していた。エナメル塗料による全塗装が流行したのもこのころである。その後ウレタン系塗料が普及して、ウレタンによる全塗装が行なわれていた時期もあったが、新車の塗膜性能の向上や塗装料金の上昇で、あまり一般的ではなくなってしまった。
層間密着性
下地と上塗り、メタリック層とクリヤーなど、塗膜と塗膜の間の密着性をこう呼ぶ。これが悪くなるとブリスターができたり、塗膜がシールを剥がすようにバリバリめくれる<層間はくり>が生じる。原因は足付け研磨の不充分、油分やワックスなどの付着、層間密着の相性の悪い塗料を塗り重ねたなどである。
素地調整
概括的に言えば、塗装しようとする面を塗装できる状態にする作業のことである。補修塗装では、パネルの鋼板面の錆を落としてプライマーを塗ったり、足付け研磨をすることがこれに当たる。
ソリッドカラー
メタリックやパール塗装のように、上にクリヤーを重ねない、文字通り1枚もののソリッドな上塗り塗膜を持つボデーカラーがソリッドカラーである。以前は塗膜構成だけでなく、使用される原色(顔料)もソリッドカラー用のものだったが、メタリックカラー用の鮮やかな原色もソリッドカラーに使われるようになってきて、その意味の区別はなくなってきている。またソリッド塗膜の上にクリヤーを重ねた<2コートソリッド>もあり、アルミ顔料やパール顔料を含まないボデーカラーがソリッドカラーであるとも言える。